2018年 07月 15日
言葉かけの作法
◆自分らしい生き方、応援します◆
アスク・ヒューマン・ケア(http://www.a-h-c.jp)メールマガジンより転載
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私たちは、焦ってバタバタしている人を見るとつい
「焦らないで、落ち着いて!」
と声をかけたくなるもの。
これを「間違い指摘反射」といいます。
人は誰しも他人の間違いを見ると、まさに反射的に正し
たくなるものなのです。
相手が危なっかしい行動をしていれば注意してあげたく
なるし、自分が知っていることを相手がわかっていなけ
れば教えてあげたくなります。
「そんなに飲んで……。もっと体のことを考えたら」
「おまえは甘いんだ。そんなことだから失敗する」
「考えてるって言うけど、ちっとも考えてない」
「気にしすぎよ。もっと気楽にしていればいいのよ」
こうした間違い指摘は、
「怒り」「防衛」「不快」「無力感」
という相手の反応を引き出すことがわかっています。
そのため、NGワードを多用するしかない状況では、
「何かあるたび、言い合いになる」
「よかれと思って提案することが、すべて拒絶される」
「話しかけても、無視される」
「相手がウソや言い訳ばかり繰り返す」
「そもそも、ほとんど会話がない……」
というパターンに陥りがちなのです。
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NGワードをOKワードに変えてみましょう。
たとえば相手が
「うるさいな、関係ないだろ!」
と言ったとき……
NGワードの例
「関係あるから言ってるんでしょ!」
OKワードの例
「そうか……自分で何とかしたいのね」
ポイントは、相手の感情や状況を観察し、想像して言葉
をかける「共感」のノウハウです。
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「共感」は、必ずしも相手の話に「私もそうなのよ~」
「それは確かにつらいよね~」「本当にそう思うわ~」
などと同意したり同化することではありません。
共感とは「相手への興味と関心を持って、相手のことを
想像する姿勢」のこと。
相手の気持ちや状態をぴったり言い当てようとしなくて
よいのです。違っていたら相手が訂正してくれます。
たとえば次のように、言葉をかけてみます。
「疲れているんだね」
「がんばっているんだね」
「今はそのこと、聞かれたくないのね」
「どうしたらいいか、ゆっくり考えたいということ……」
共感を伝える言葉を使うことで、相手との会話は変化し、
関係も変わっていきます。
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なかなか難しいことではありますが、
相手の心に寄り添って言葉かけの作法を変えるだけで、
問題の解決がはかれることもあります。
先日、闘病中の息子3から、
「お願いしたいことがあります」と、改まった口調で提案がありました。
はい、何でしょう?と襟を正してその先を聞けば、
「何か、家事を手伝わせてください」と言うことでした。
ありがたいなぁ・・・と涙がこぼれました。
心を病んで我が家に戻ってきて、6年。
やっと、私を「お母さん」と呼んでくれるようになりました。
母子関係のやり直しは、いつからでもできると、
自分のこの体験から、皆さんにお伝えすることができます。
相手の言うことをまずはすべて受け入れる。
それから、アドバイスが必要な様子であれば、ちょっと伝える。
こちらの言い分を押しつけることは、マイナスの効果しか生みません。
お母さん(私)・57歳。息子3・26歳。
ここから、やっと、新しい関係がスタートします。
もう、同じことの繰り返しにならないよう、肝に銘じるためにアップしておきます。